投稿

8月, 2021の投稿を表示しています

テレコムアプリの実装の特徴と監視方法① 〜基地局編〜

イメージ
テレコムAPLが具体的にどのように実装されているか、それに伴う監視ポイントがどこかがまとまっている資料がないので、公開情報からまとめてみた。今回は基地局である。 基地局 @DIMEの「 携帯電話基地局の仕組み、設置料、メーカーなど知られざる秘密、こっそり教えます 」や「 携帯電話のしくみ 」、「 結局モバイルNWのお仕事って何? 」を参考にして頂きたいが、一言で基地局と言っても複数の構成からできている。 装置構成 無線 装置と言って良いか分からないが、モバイルにおいては端末 UE (User Equipment)とネットワークは電磁波を利用した無線で通信される。そのため、電磁波の物理的性質に基づいて「 電波の特性 」のような性質がある。 無線は電磁波を利用して信号を運ぶため、 周波数×時間×電力(振幅)を組み合わせる ことで限られた無線リソースを複数のユーザで共有する。 電磁波に情報を載せるため、電磁波の振幅を加工する変調技術と、誤り訂正( FEC )や信号の再送( ARQ )を行うための 符号化 が行われる。こちらの論文「 無線通信方式の基礎 」がよくまとまっている。 これらの無線は特定の周波数( キャリア )毎に セル という単位で制御し、電磁波の放射エリアに指向性を持たせ セクタ を構成することで、他のセルの干渉を最小化したり、1セルのエリアを小さくして1セルあたりの収容ユーザ数を限定させたりして、限られた無線リソースを効率的に利用している。 第2世代、第3世代、第4世代、第5世代・・・とは、これら無線リソースの 共有方式や符号化技術を改良 することで、限られた無線リソースで大容量の信号を運べるように改良している。 異なる周波数(キャリア)のセルを重ね合わせる( オーバーレイ )によって、基地局やアンテナの故障への 耐障害性 を高めたり、キャリアアグリゲーションによって複数のキャリアと同時に通信することで通信速度を高めたりしている。 アンテナ 無線の送受信を行う基地局の装置 RRE (Remote Radio Equipment)であり、端末(UE)と基地局が通信するモバイルの要の装置である。 一様に広がりがちな無線の放射に対して特定のエリアのみに無線を放射できるようにビーム性を持たせ、アンテナではこの ビームの角度( チルト 角) を制御している。 MIMO...

グローバル企業と議論するための基礎情報収集

グローバル企業と議論する場合、前提となる基礎情報が異なるケースが多い。例えば、国内では企業名を言えば大凡の売上等は分かるが、海外企業と話す時はしっかり財務情報ベースで話をしないと通じないことが多い。そのため、 マーケットニーズの規模 と様々な施策のコスト感は金額ベースの定量的(数値的)な情報を把握しておいた方が良い。 共通的な基礎情報 共通的な指標として、主要国の国土情報とマクロ的経済指標、そして主要企業の決算報告書は目を通す習慣をつけた方が良いと思う。 国土情報 国土情報は今の時代はWikipediaで調べれば十分な情報を獲得できる。人口、年齢分布、地理的特徴、政策的特徴、主要産業あたりは抑えておきたい。 マクロ的経済指標 外務省のHP にリンクがまとまっているため、そちらを利用すると簡単に確認できる。特に外務省の『 主要経済指標 』( 2021年 分)やOECDの『 OECDの主要指標 』、JETROの『 世界貿易投資報告 』、総務省の『 世界の統計 』は一度見ておくと規模感が分かると思う。 景気情報 GDP: 各国の経済の規模感を知る上ではGDPは一番話がしやすい情報の一つだと思う。関連する国の大凡の規模とトレンド(上昇/下降/横ばい)は抑えておきたい。 企業情報 設備投資(Gross Fixed Capital Formation): 法人向けのビジネスをする上では、その国の設備投資トレンドとその設備投資額の規模感は抑えておいた方が良いだろう。OECDの『 設備投資(総固定資本形成) 』から部門(Sector)別で過去10年以上の傾向を辿ることもできる。 労働 失業率: 一般消費者の懐事情を見る上では、失業率は一度見ておきたい。OECDの『 失業率 』であれば若手とそれ以外の失業を確認でき、ヨーロッパでは若手の失業率が非常に高いことも分かる。 物価 消費者物価指数: こちらも一般消費者の消費傾向を見る上では大切な指標であろう。内需を伴う経済成長中か、デフレが起きているのかなどもある程度確認できる。 貿易 輸出入量: こちらもその国の経済規模を見る上では参考になる指標値である。JETROのサイトでは貿易の内容を細かく調べることもできるので、どのような産業に力を入れているのか、どのような物が自国でまかなえないのかなども分かる。 国際収支: こちらはその国が外貨を...

VNFMとは?

仮想化された交換機等のテレコム設備(VNF: Virtualised Network Function)の管理機能部としてETSI-NFVではVNFM(VNF Manager)が定義されている。VNFMの主な役目として VNF LCM を行うというものがあるが、VNFMが入ることでNFVOやVIMとの機能的な違いが分かりにくくなっている。VNFMの役割とは何だろう? ETSI-NFVにおけるVNFMの役割 ETSI GS NFV-MAN 001 の過去の提案資料(寄書)や議論状況を見ていると、どうやら以下のような考え方で機能部を検討してきたようだ。 テレコム設備(Network Function)の仮想化(VNF) Compute/Storage/Networkの仮想リソースプール化(NFVI: NFV Infrastructure) 複数のNFVIの管理/クラウド化(VIM: Virtual Infrastructure Manager) 複数のVIMのキャパシティ管理と既存保守機能部(OSS: Operation Support System)の接続と自動化(NFVO: NFV Orchestrator) 既存のNFのOAM部(EM: Element Manager)やVNFの仮想化に伴う不足機能の補完(VNFM) MAN001の議論状況だけ見ると、上記の通りNFVOとVIMしかなかったようだ。MAN001の発行直前に、既存のVNF/EM/OSSと新機能部であるNFVO/VIMの不足機能を補完するためにVNFMが定義されている。 問題はこの“不足機能“とは何かが不明瞭なため、VNFMは様々な機能部との境界ラインが曖昧になってしまっている。 VNFMの機能 ETSI GS NFV-IFA 010 を確認すると、VNFMが保持する機能としてはVirtualised Resource (VR) Mgmt、VNF  LCM、VNF Config Mgmt、VNF Info、VNF FM、VNF PM、VNF Indicator、Policy Mgmt、Snapshot Mgmt、VNF workload Mgmtがある。VNF LCMやVNF workload Mgmtは NFV-Tacker workshopのレポート「NFV#34会合サマリとNFV-Work...