英語ができない私がグローバル人材!?
TOIEC300点台の私が、突然海外の企業とお付き合いしたり、国際標準化団体で活動することになった。グローバル化に伴い、国内だけで完結する仕事は少なくなっているのかもしれない。このブログでは、英語のできない私が、海外の方とお仕事する姿を紹介し、グローバル人材とは何か、今後どのようなスキルが求められているのかを考えていきたい。
通訳がいても海外の人と会話ができない!?
海外の方にプレゼンして、会話ができずに戸惑った人は少ないと思う。私は英語が苦手だったので、始めから会話が成立するはずもないと思っていたが、どうやら原因は英語のスキルだけではなかった。そもそも考え方が違うようだ。
- 詳細の積み上げ→結論(日本人) vs 全体概念→具体例(海外)
- 主語の省略(日本語) vs 主語の明示(英語)
- ○✖️ or OK/NGによる比較表 vs 議論ポイントのみ記載
私は、現在の仕様の技術的な課題(Problems)と、その解決策(Solutions)を丁寧に説明する資料を作った。しかし、海外の方は、背景(Rational / Background)と、議論の範囲(Scope)、この会議後のアウトプット(Goal / Decesion Points)の説明を求めた。海外では、背景や文化、目的が異なることは当たり前なので、Background → Goal → 今日のScopeの説明が先にないと、議論すらして貰えないのだ。私はこれ以降、自己紹介、自社のビジネス上で問題となっている背景(Background)、本日の会議のGoalとNext Stepを最初に記載するよう心がけるようにしている。
次の問題は主語の問題だ。日本は多くの場合、主語を省略できる。例えば、“X装置がBに対してAという処理をする“、という場合、日本語は“BはAによって処理される“と書いてしまい、X装置が抜けてしまう。これを通訳さんに英語にしてもらうと、X装置が無いので英語化できない。その結果、実は自分の意図と全く異なる仕様を説明する仕様になっていたようだ。通訳さんによってはそれらを適切に補完してくれるようだが、それはその技術背景を知っている通訳さんしかできないだろう。これ以降、“動作の主体は誰か?“を意識するようになり、それを明記するようにし翻訳しやすくした。その結果、“英語も少し話せるようになった“。
最後に衝撃的だったことは、○✖️やOK / NGを利用した比較表が通じなかったことだ。○が良い、✖️が悪い、というのは日本独自の表現方法らしい。また、OKという英語はあるが、NGという英語は無いようだ。そのため、○✖️やOK / NGの比較表は全く理解できないようだ。また、そもそも表で優劣を比較するという文化も少ないように感じる。何度も比較表を提示することで、最近では比較表による評価を理解してくれたようだが、今でも○ / ✖️は利用せず、Good / Badを使うようにしている。
この3つを注意するだけで、英語ができなくても翻訳ツールを利用して英語でのコミュニケーションが取れるようになる。逆にこれらを注意して説明しないと、どんなに英語ができても“英語ができるはずなのに、何を言っているか分からない“と思われてしまうだろう。
やっぱりGive and Take
グローバルでの交渉では、知恵はグローバルトレンドを把握しておき、相手が知らないビジネスネタを持つ必要がある。この点について日本は他国に尊重されているように感じる。多くの企業は、日本は新製品のテストマーケットと捉えられており、日本でそれなりに高評価を貰えれば他の国でも売れると考えているケースは多いようだ。そのため、“今後この業界はこのような世界(Vision)になり、従ってこんなものが必要になる(Requirements)はずだ“という説明は交渉上非常に重要なメッセージになる。これらを先に伝えると、様々な議論に付き合ってくれるようになるし、協力もしてもらいやすくなる。
このようにして今日も私は、ほとんど英語が聞き取れない中、海外の方とお仕事をしている。
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