O-RANが盛り上がってきた

 NFVの動向を観察していると、最近はNFVと一緒にO-RANというキーワードをよく聞くようになってきた。諸説あるが2015年がVMベースのNFV元年と言われているので、5年経ってNFVの業界動向が落ち着き、多くのNFV関係者はNFVの領域拡大を狙っているのかもしれない。NFVの領域拡大の第一候補が無線であり、O-RANはその時代の流れに合致しているのだろう。その考え方としては総務省HPのNEC説明資料が分かりやすい。

O-RANとは

O-RAN Allianceによると、O-RANの目的は無線装置の業界変革として3つのキーワードを挙げている。

  • Open化 = RU〜DUのインタフェース制定?
  • Intelligence化 = RAN Intelligence Controller(RIC)の導入
  • Virtualization = CU&DUの仮想化と仮想化基盤(O-Cloud)の導入
モバイルの標準化仕様の代表例として3GPPがあり、TS 38.401においてCU〜DUのアーキテクチャが定義されている。こちらでLTEと比較しながら3GPP仕様の無線装置の主な機能と機能分担の考え方が説明されているが、RU〜DUのインタフェースが定義されていないことが分かる。3GPPは論理機能部を接続するためのプロトコルを規定することが主なScopeであるため、O-RANは3GPP仕様をベースに、RICやO-Cloudのような論理機能部の中の構成要素や保守機能部の標準化を補完(O-RAN White paperより)しているようだ。

O-RANとNFVの関係

O-RANのSpecを閲覧するためには登録が必要なため、メンバー以外が簡単に確認できるのはBlogかと思う。これらとWhite Paperを読む限り、DUやCUを仮想化してクラウドに載せるため、O-Cloudと呼ばれる仮想化基盤上にAPLがデプロイされるようだ。そのため、“O-Cloud = VIM+NFVI & CISM+CISI“であり、O2 Interface ≒ Vi-Vnfm/Or-Vi + CismのIF だろう。VerizonSamsungの記事を読むと、いくつかのオペレータは既にNFVと同じような構成でRANをデプロイしているようなので、O-CloudがNFVと全く別の機能分担や製品を利用することは考えにくい。そうなると、今後O-RANとNFVの仕様が近づき、どちらかが相手の仕様を利用するようになる日が来るだろう。

2020年頃から「vRAN NFV」と検索すると多くのオペレータやベンダが何らかの発表を行なっているため、これらの背景からNFVでO-RANが盛り上がっているのかもしれない。今後O-Cloudに関する仕様が公開されたらNFVとO-RANの関連性を詳しく分析していきたい。

コメント

  1. O-Cloud = VIM+NFVI & CISM+CISI“であり、O2 Interface ≒ Vi-Vnfm/Or-Vi + CismのIF というまとめがすごくわかりやすいです。TS.38.401,O-RANのブログも読んでみたいと思います。勉強になります、ありがとうございます。

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    1. コメントありがとうございます。この5年くらいはO-RANが次の大きなトレンドかもしれませんので、私も動向を注視したいと思います。

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