海外モバイルオペレータの動向〜ビッグオペレータ編

世界には800以上のモバイルオペレータがいると言われている。Wikipediaに各オペレータの売上ユーザ数のサマリと様々な報道発表を見ながら少しオペレータの動向について記載してみたい。

China Mobile

ユーザ数が10億人、営業収益13兆円の世界トップのモバイル企業。China MobileはHuaweiがメインパートナーベンダであり、R&Dを持っている数少ない高い技術を持っているオペレータ。技術もお金も持っているためモバイル市場への影響力は非常に大きい。2020/2021年のChina Mobileの活動としては

China Mobileは今後5Gの全国展開拡大をしつつ、それに合わせてNFVの導入やオペレーションの自動化によって運用改善も狙っているのかもしれない。運用改善の狙いはOPEXの改善と、災害対策を狙っているのかもしれない。その実現のために、China MobileはETSI-NFV、ETSI-ENIとOpen Sourceを活用したecosystemを作ろうとしていると思うが、中国はGFWによって他国と比較するとモバイルアプリは独自のEcosystemになっているようだ。現状まだecosystemの全体像は見えない。China Mobileの今後の発表によっては、China Mobileの世界観が分かるかもしれない。

AT&T

ユーザ数1.7億人、営業収益17兆円のChina Mobileに並ぶ超巨大モバイル企業。ETSI-NFV、O-RAN、OPNFV、ONAPなどモバイルのエコシステムを大きく変化させるような団体を自ら立ち上げるパワーのあるオペレータ。2020/2021年のAT&Tの活動としては

O-RANに対する情報発信は多いが、AT&Tの5G全体のビジョンやコアを含むバックボーンの発表があまり無いため、今のところどのような方向に拡大しようとしているか分からない。多分、NSAとして4Gのバックボーンを再利用することを考えており、当面はO-RANをベースにLocal 5Gを含む用途に合わせた多様な無線装置とIoTの推進等の新ビジネス部分に注力したいのかもしれない。逆に言えば、モバイル特有の事業は優先度を落としている可能性もある。AT&Tもモバイル市場やエコシステムを大きく変えるパワーを持ったオペレータなので、今後AT&Tの世界観が分かるようなWhite Paperや発表を期待したい。

Verizon

ユーザ数1.2億人、営業収益13兆円の巨大モバイル企業。2017年まではアメリカ市場トップのモバイル企業だったが、2018年にAT&Tが逆転。AT&Tがメディア事業やゲーム、更には海外市場などの経営の多角化戦略に対して、Verizonはアメリカでのモバイルと固定の通信事業に専念している。2020/2021年のVerizonの活動としては

  • 5Gの公式発表:AT&T同様に既に多くの州で5Gサービス開始。
  • 5G SA:2021年商用スタートに向けてTrial中。
  • 5G採用ベンダ:Ericsson & Samsung 5G RAN、Cisco SD-WAN、Nokia?。

Verizonは5Gに向けてNFVの技術をベースに無線、コア、トランスポート全ての準備を進めているようだ。VerizonとAT&Tの株価動向を見ると、5Gに関するビジネス戦略はVerizonの方が成功しているように見える。一方で、無線の5Gベンダは公表されているにも関わらず、5Gコアのベンダが公表されていない点は気になる。昔のNokia(旧ALU)とVerizonの関係や、SDxCentralの5Gコアの記事を踏まえると、VerizonはSAの実現に向けた旧コア側ベンダと5G無線側ベンダ含めた5G Coreベンダの選定、IoTサービスとの連携に向けたモバイルとエンタープライズ向けのNWの再構築を現在検討中なのかもしれない。


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