結局モバイルNWのお仕事って何?
NFVやO-RANで議論していると、モバイルAPLを開発している人と、クラウドを開発している人の間で、根本的な考え方や前提の違いを感じる。モバイルNWも多数の機能を保持しているが、今回もモバイルNWが何をしているかをざっくり説明してみたい。
モバイルNWのお仕事
モバイルNWの一番の特徴は“端末が移動すること“だろう。そのため、端末の移動に伴って物理的な通信路が変化する可能性がある。特に道路や電車沿い等は通信先の基地局が頻繁に変化することが想定される。
TS 23.501 System architecture for the 5G System を読むと多数の機能が羅列してあるが、一言で言うと“モバイルNWとは端末が移動したとしてもお客様の通信路を維持し続ける専用トンネルを作る装置群“と言えるだろう。
- お客様の通信: 端末が移動したとしても、インターネットや通話等の通信を維持できるように“物理NW装置に依存しない専用トンネル“(=bearer)で通信
- NW層: 端末〜無線〜基地局〜交換機からなる物理NW
- モバイル網NW: 端末の移動に合わせてそのNW層の通信路を隠蔽しながらお客様の専用トンネルを作成/更新する機能群
モバイルNWはNW層の上にお客様の専用トンネルを作るため、複数レイヤで複数の装置向けに別々のプロトコルをカプセル化して利用している。クラウドの方々はNW層の通信しか視点がないため、クラウドの機能でNWを動的に作成・制御することをイメージしているので、この点に根本的な考えの違いがあると感じる。こちらの高速・大容量・低遅延を実現するLTEの無線方式概要を参考にすると、このように多数のプロトコルが同一のパケット状に積み上げられていることが分かる。
無線部分の進化
もう一つモバイルNWを理解する上で理解が必要なことが無線区間の進化だろう。5G無線アクセス技術とW-CDMAシステムと共用可能なLTEシステム用無線基地局装置の開発をみると、無線リソース制御部、符号処理部、アンテナ、無線部分で、それぞれ順番に進化をしているようだが、大きな機能分担そのものは変わっていない。
全体像を理解しながら各仕様や技術トレンドを把握することが、世界観を提示しながらグローバルで交渉する上で大切だろう。
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