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NFV#51でRelease 6のStage2が始まってから半年以上あまり進展が見られなかったが、やっと少し進展したのでまとめていきたい。

Release 5はTST010を除く全仕様がed541として完了し、Finalizeされた。Release 6はTelecom装置に対してKubernetesの機能では不足している部分を、Operator Frameworkを利用した拡張部分で仕様化する方向で検討が大きく進捗した。Release 7はAI for CloudとCloud for AIの両面でAI nativeな基盤の仕様化をStudyしている状況である。

NFVの仕様がそのように進捗する一方で、ETSI ISGの再編が起こり、新しくTC NETという団体が設立され、NFV/MEC/ENI/ZSMは今後新しい仕様の検討はTC NETで行われることとなった。

NFVの仕様進捗のサマリ

Release 5はSOL021 (intent mgmt)の仕様が完了した。その他の更新としては、他団体が制定済みの仕様に対してNFVのUsecaseを実現するためのパラメータや使い方を制定するProfiling Approachについて、仕様の参照の仕方が曖昧で実際に実装しにくいというフィードバックから全般的にバージョンを指定しつつ具体的に記述されている仕様の章を参照することでわかりやすさを改善した。また省電力に関する仕様が全体的に追加された。ed541として更新され、既存としてはメンテナンス完了された仕様は以下の通りである。

またSECもRelease 5の仕様は全て検討を終え、IFAのRelease 6の検討を待つ状態となった。


Release 6としては、NFVからTelco Cloudと名前が変更され、TCO (Telco Cloud Orchestration)、TCP (Telco Cloud Platform)、TCI (Telco Cloud Infrastructure)、TCA (Telco Cloud Application)が規定された。TCO/TCP/TCIのStage1はNFV008シリーズとして制定され、NFV009シリーズでDescriptor、NFV010シリーズでIFを定義中である。

Release 6では従来のImperative (APIをコマンドベースで指示し必要な操作を積み上げて理想の状態にする)からDeclarative (あるべき姿をDesired Stateとして定義し、各装置はDesired Stateになるように自動で制御を繰り返す)に発想を変えている。そのため、従来のSOL003のIFもNFV010-2ではDesired State (あるべき姿)とObserved State (現在の状況)の一部としてOperator Framework上のCustom Resourceとして定義される方向である。Operator frameworkとは、Kubernetesの機能にDB (Custom Resource Definition)とController (Operator)を追加する機能である。上位装置からCRDにDesired StateがCustom Resourceとして投入されると、Operatorはその状態に合うようにreconcileしてPodの状態を合わせようとする。その結果、各装置間のIFはシンプルになりつつ、Kubernetesの機能を最大限活用することができる。

NFV008-2では、Telecom特有の要件として、APLの状態を管理する必要がある旨が記載されている。Kubernetesの世界ではlivenessprobe/readinessprobeによってPodの状態をKubernetesが管理し、その状態に応じて依存関係のある装置の起動順序等を制御するが、Telecomの装置はDBのようにリソースレベルでは正常に動作していても冗長系との同期などによって正常に動作できるようになるまで追加のステップが必要なケースがある。TCA LCMではこのようなAPLレベルのステータスを管理して起動制御等を行うことでTelecomの装置をKubernetes上で動作できるようにしている。その他の特徴としては以下のようなものが議論されている。

  • APLレベルのステータス管理
  • 起動順序制御
  • Multusを利用した多数のネットワーク
  • RackレベルのAffinity/Anti-affinity rule
  • APLレベルのステータス管理を継続したTCI (Kubernetes Cluster)の無中断Upgrade対応

一方で、Declarativeな時代のDescriptorとは何か?というところで議論が止まっている。Desired StateとしてAPI上であるべき姿が定義されるのであれば、敢えてデプロイのテンプレートとしてDescriptorが要るのか?という議論が起きている。

また、Profiling Approachによって制定された仕様のテストはどうあるべきか?という議論も起きている。例えばKubernetesやPrometheus等のOpen Sourceは既に開発されているのに、そのテスト仕様を作ったとしてそれは誰が何のために行うテストなのか?という議論である。ProfilingによってこんなユースケースがあるはずだとOpen Sourceに共有し試験してもらうのだろうか?それともオペレータのインテグレーションされた環境で、Consumerが正しくProfilingされた値を指示できるかを試験するのだろうか?

更にドキュメント体系も大幅に見直しされ、Markdown形式での作成となり、Stage2とStage3も統合された。

TC NET

元々ETSI ISG NFVは時限式の団体であり、長期継続する予定は無かったがETSI ISG NFVが始まって10年以上経過してしまった。一方で、AIを中心としてETSI配下のISGの作業領域が重複してきていたり、参加者が激減してContributorだけでは仕様の維持も難しくなってきた。このような中で、ETSIのBoard(役員クラスのグループ)はISGのマージとEU Commissionとの連携強化として恒久的な仕様策定団体であるTC(Technical Committee)化する方向に向かった。

10/7 - 9が初回の会議であり、Chair 1人、Vice Chair 4人の構成で会議はスタートする予定である。また、ETSI ISG NFVの仕様等は今後TC NETで引き受けていくことになるため、なるべく会合はTC NETとETSI ISG NFVを合同開催していく方向で議論されている。筆者もTC NETのVice Chairとして再びMobile Networkの標準化を活性化させていくことに貢献していこうと考えている。

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