NFV#34(2021年4月)の会合サマリとNFV Workshop
今回のNFV#34は、Telecom TVと合同のNFV-Workshopと、NFV-Tacker Workshopという外部団体の連携が特徴的だった。最新のNFV仕様の全体像はこちら(ETSI-NFVのOpen area)で、NFV会合の説明は過去のBlog NFV33の会合サマリを確認して頂きたい。
NFV#34のサマリ
NFV#33と比較した重要な活動結果としては
- Release3についてはSOLの第2版(ed351)もTST010の初版(ed331)もリリースされなかったので、大きな進捗はなかったようだ。
- 3GPPとMANOで連携しながら高度なVNFの制御を可能にするLcmCoordinataionは次回に繰り越しのようだ。
- Rel3のSOL API(ed331)に対応するTST010が発行されていないので、Robot Frameworkの自動テスト環境はまだまだ構築ができないだろう。
- Release4はIFAの第2版(ed421)が凍結(Finalize)され、最低限のコンテナ制御のAPIとデータモデルはStage2レベルでは揃うだろう。
- IFA036(Cluster管理)やIFA038(コンテナネットワーク)が終わっていないので、どのレベルでマルチベンダ可能かは不明。現時点ではVNF/CISM(コンテナ基盤)/VNFMは一体型が現実的かもしれない
- Stage3は過去のバージョンを見ても半年以上はかかるので、早くてもRelease 4のStage3の初版は年末だろう。
- NFV Workshopを見る限り、ETSI-NFVはRelease5を検討しているらしい。プレゼン内容を踏まえると、考えられるRelease5の方向性は以下のあたりだろう。特にVNFのConfigurationやPaaSはRelease5の目玉機能になるかもしれない。
- 仮想リソースレイヤ→VNFレイヤへ
- コアネットワーク→MECやRANの領域へ
- デジュール(標準仕様) vs デファクト(実装先行) → Open Sourceと標準化の融合へ
NFV-Workshop
今回NFV-WorksohpはHuaweiがスポンサーとなり、Telecom TV(ヨーロッパの特定分野のテレビ局)と合同で開催された。
- NFV開発&運用のフィードバックのプレゼン
- DOCOMO: 2G/3G/4GのPDCA的なテレコムの運用に、クラウド的なScrap and Build技術を取り込むための方法と、NFVに期待する拡張領域
- Keysigt: 2021年で5回目となるETSI Plugtestの進捗報告と、VNFとMANO間のIOT(相互接続テスト)の問題点を指摘
- CMCC: CMCCはNFV導入において多数の人員が必要になったため、自動化の重要性を強調
- Orchestration -> imperative policy -> intent -> DevOpsという進化が必要
- Huawei: container基盤をVM上で構築する運用がテレコム環境ではベストプラクティスであることと、Edge環境にNFV基盤を拡張するときの自動化の重要性を強調
- Open Sourceとのコラボレーションのプレゼン
- CNCF: CNCFのアーキテクチャはVM上、クラウド上、物理サーバ上と様々な環境で利用可能な柔軟性があるが、互換性のテスト仕様や環境に課題がある
- ONAP: NFVのRel3仕様のVNF Package(SOL004)/NS Package(SOL007)を実装したことのアナウンスと、次の開発アイテムはコンテナ制御(SOL018)とセキュリティ(SEC021)を予定している
- Anuket: ETSI-NFVと、NFVIやCaaS/PaaSの仕様&実装一致化、様々なアクセラレータ技術の統一化のコラボレーションの提案
- Panel「NFV運用経験と問題点」
- Public CloudとNFVの関係 → 現時点だとテレコム用にはプライベートクラウドがメインということは合意しつつも、今後のパブリッククラウドとの関係については否定的な見解はないながらも、具体的なアイディアはなかった模様
- Plugtestの位置付け → 商用開発に向けたインテグは非常に大変なので、それを事前に確認できるという意味では一定の役割あり
- クラウドネイティブアーキテクチャに向けて → ソフトとハードの分離が大切
- Panel「ライブQ&A」
- プレゼンテーションのサマリ
- O-RANやMECとNFVの関係 → MECとNFVは既に仕様の一致化が進み、O-RANとは今後
- NFV技術の社内教育 → 標準化と開発、開発と運用が近づくというのが一つのアプローチ
NFV-Tacker Workshop
(4/29更新)
OpenStack TackerのデモがYouTubeに公開されていた
コンテナベースの5GCをOpenStack TackerとKubernetesでInstantiate、Heal、Scaleのデモを行なっていた。動画の内容を見る限り、OpenStack Tackerのコンテナ管理の実装のポイントは
- コンテナであってもVNF PackageはSOL004の仕様を利用している
- Openstack vnf package showの内容がSOL003 VNF Pkg mgmt IFと同じ
- コンテナであってもVNF LCM APIを利用している
- Openstack vnflcm showの内容がSOL003 VNF LCM IFと同じ
- KubernetesをVIMとして扱おうとしているようだが、管理情報はVimConnectionInfoではなくTacker独自仕様を利用している模様
- Openstack vim registerにおいてVimConnectionInfo以外にplacement_attrやcreatedAtなど独自パラメータがいくつか散見される
- ただしKubernetes VIMはVnfInfoのVimConnectionInfoに格納されているので、VNFMとしてのTackerとしてはVimConnectionInfoを利用している模様
というあたりがある。Tackerのソースコードを確認すると、基本的にはVMもコンテナも同種類のVNFとして制御し、VIM向けのDriver(InfraDriver)をOpenStackとKubernetesで分離し、vnflcmからVIMを呼び出すときにOpenStack向けDriverとKubernetes向けDriverを使い分けているように見える。
OpenStack TackerはコンテナベースのVNFもVMベースのVNFも同VNFとして扱う方針のようだ。今後ETSI NFV IFA 4.2.1仕様がPublishされた後に、OpenStack Tackerがどのように追従するか引き続き注視していきたい。
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