NFV#35(2021年9月)会合サマリ

    今回のNFV#35(9/13〜22)もコロナの影響でeMeeting (電話会議による会議)となった。今回はNFV-Workshopのようなイベントは無かったようだが、いくつかの仕様検討は大きく進んだ。最新のNFV仕様の全体像はこちら(ETSI-NFVのOpen area)で、前回NFV会合の説明はNFV34の会合サマリを確認して頂きたい。

    NFV#35のサマリ

    NFV#34と比較した重要な活動結果としては、
    • Release3のed351がPublishになった。
    • Release4のStudyが多数完了フェーズになり、今後Normativeに移行する。
    • Release5のNew Work Itemが承認され、活動が開始された。
    コンテナ関連はあまり進んでいないが、新Usecaseや新機能に関するStudyが多数完了して、これから新しい機能に関するアーキテクチャの検討や機能分担が開始されそうだ。

    Release3:LCMの高度化

    IFA&SOLの第2版(ed351)がPublishされ、サポートするVNF関連の機能について大きな進展があった
    • CoordinateLcmOperationが仕様化され、FEAT02 VNF Upgradeが完了した。ed361に向けた残機能はFEAT03 NFVI UpgradeとWIMのNorth Bound Interface (NBI)のみとなる。
      • SOL017 MSCS (Multi-Site Connectivity Service) stage 3 reportが完了し、IETF ACTNベースでWIM NBIが開始予定。
    • VipCpの導入によりVirtual IP address (VIP)がNFV-MANOでも管理可能となり、NFV-MANOがサポートできるVNFのNWの幅が広がった。
      • Rel2までは主にMAC Address+VLAN (L2)のLinkのみがNFV-MANOの管理対象であり、IPアドレスはConfiguration(設定情報でありNFV-MANOの管理対象外)だった。そのため、例えばVNFC間で冗長構成になっていた場合も、その数だけExtCpが必要となるような管理方法だった。
      • Rel3からはVipCpを利用することで、複数のVNFCでVIPを共有するVRRPのようなNWも記述可能になった。
      • Rel2/Rel3の制約を見ると、サポート対象のVNFの構成と、サポートされていない構成がある

    Release 4:コンテナ対応

    Release4はいくつかのStudyが完了に向かい、今後各StudyのFBを踏まえてStage2が始まりそうだ。
    • IFA041 Autonomous mgmtが完了し、MDA(Management Data Analytics)とIntent mgmtが追加される。
      • OSSからIntent (= desired state)を貰って、従来のNFV-MANOに仮想リソース制御を行える。
      • MDAはNFVOの中or独立して定義(今後仕様決定)され、OSSからMachine Learningを利用できるようになる。
      • 詳細は「仮想化と監視運用自動化」を参照
    • IFA042 Policy Modelが完了し、ECA(Event Condition Action)モデルでPolicyを記載する方向になる。
      • SOL012 Policy mgmtのInterfaceしかなかったので、やっと中身のStage2が進むことになる。
      • ONAP APEXPolicy Frameworkがリファレンスになっているようだが、かなり細かいレベルでErro-handlingも記述することを要求しているので、ETSI-NFVで拡張仕様を決めることになるのだろう。
    • SEC005 certificate mgmtが完了し、Operator Certificate Enrollment Function (OCEF ≒ CA局から証明書を配信するPKI相当)が追加される。
      • SOL013で規定されているTLS通信実現ための証明書配信の仕様がやっと制定される。
      • KubernetsはCNFへの証明書配布のために独自のCA局を内包しているようなので、OCEFとKubernetsがどのように接続されるのは継続的な確認が必要になりそう。
    • IFA037 NFV for 5GもFinal Reviewが概ね終盤となり、今後Normativeへ移行する。
      • 大きな機能追加は無いようだが、既存IFはあちこち拡張が入るようだ。
      • 特に大きいのは、NFVOがVNF間の関係を理解し、片方のVNFが変化したら、他の関連するVNFの変更も行なっていくことの拡張だろう。これでやっとNFVOがOrchestoratorらしく、VNFの要件+NFVIの能力+現在のNS/VNFのトポロジーから関連するVNFやNWの変更をDynamicに行う土台ができてきたようだ。
    • IFA038 Container  NWもFInal Reviewに入り、NFVO/VNFM/CISM間の機能分担が明確になってきた。
      • Primary Container Network, Secondary Container Network, Cluster Networkの3種類のNWが定義されるようだ。
      • CIS Cluster(CaaS)内はCISMにお任せのようだが、CIS Cluster外の通信はNFVOやVNFMがそれぞれ仮想NWやLB等へ設定変更を行うようだ。
    • EVE019 VNF Common OAMもFinal Reviewに入り、PaaS機能が追加される。
      • IFA029 Cloud NativeのVNF Common/Dedicated Service (Common Function)がDB、LB、CA局などの共通機能を提供
      • EVE019 VNF Common OAMのGeneric  OAM Functionはログ監視、FM、PM、CM、NW制御、VNF Upgrade、時刻管理などの保守機能を提供
    • IFA034 License mgmtもFinal Reivewが概ね終盤となり、今後Normativeに移行していく。
      • VNF-LM (License Mgmt)がEMサイドに追加される(ETSI-NFVのScope外なので、今後どうなるかは要確認)
      • 基本的には既存IFをVNF-LMが利用するだけなので、あまり機能拡張は無さそう。
    • IFA036(Cluster管理)では、CIS Cluster(CaaS)用の新しいDescriptorを使う議論が始まっている。
    • IFA040-SOL018 CISM APIとIFA011-SOL001 VNFDはver4.2.1として仕様化されているようだが、他のSOLもver4.3.1として仕様化が始まったようだ。
      • 4.3.1の終了予定は2022年の3月末らしいので、実質コンテナ関連の仕様が整うはその頃だろう

    Release5: NFV適応ドメイン拡張

    Release5はNew Work Itemが承認され活動計画の議論が始まり、どうやら2022年の6月末頃までStudyする予定のようだ。元々「NFV#34の会合サマリ」でも記載した通り、Release5はAPLレイヤの制御支援による自動化と、NFVで利用可能なドメインの拡張が主な方向性であった。
    • IFA043 Enhanced container network: IFA038の後継であり、よりテレコムのNW条件に合致したContainer NWを検討するようだ。
    • IFA044 Flexible deployment: 現在のNFV仕様では”Deployment Flavour”によるStaticなScaleの仕様なので、コンテナの特徴を活かしたよりDynamicなScaleを行う方法を検討するようだ。
    • IFA045 Fault Model: 現状どこの標準化団体でもAlarmの中身はあまり規定されていないので、IFA045ではIFA027(PM)のようにAlarmの中身を規定するらしい。
    • IFA046 NFV for RAN: O-RANで検討されているRANの要件と現在のNFV仕様のGAP分析を行うようで、IFA037のRAN版のようだ。
    • EVE021 Green NFV: 省電力に向けた高度なPolicy制御やSmall Setの機能定義をStudyするようだ。
    • EVE022 VNF Configuration: VNFに関するConfigurationが様々な設定ルートがあるので、その課題分析と仕様拡張を行うようだ。

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