日本品質とは?
グローバルでお仕事をしていると、よくキーワードとして“日本品質“という言葉をよく聞く。日本人が想像する日本品質と、海外の人がイメージする日本品質は本当に同じことを指しているのだろうか。そもそも日本品質とは形のあるものなのか?
日本品質のイメージ
ヨーロッパ系の人のイメージ
ヨーロッパと言ってもドイツやイタリア、フランスと様々な国や文化の人がおり、同国内でも開発者と運用者、消費者、経営者でイメージは違うようだが、総じて“よく分からないところにこだわりある“というイメージがあるように感じる。
一方で、開発者等の目から見る日本品質は必ずしもポジティブではないように感じる。一言で言うと、日本人は「木を見て森を見ず」というイメージを持たれているように感じる。これにはいくつか理由があると思うが
- そもそも日本人は全体像の説明が苦手
- (ビジネスである以上は)費用対効果のあることに注力して品質向上&機能追加(多くの開発者) vs 利用者目線で少しでも不便なものがあればそれを全て直そうとする(日本)
- 上流工程であるUsecaseやRequirementから設計やテストを実施 vs 過去の経験の積み上げの独自の観点で設計の追加やテストの追加を行う(日本)
アメリカ系の人のイメージ
アメリカは人種のサラダボウル(以前は人種のるつぼ)と言われているアメリカでは、州や人種、社会によっても全然異なるイメージを持っているようだ。私がお付き合いしている人は西海岸が多いが、そちらは無印良品など日本製品やトヨタやホンダ等の日本車を至るところで見かけ、ヨーロッパに比較するとブランドというより“日本製は総じて品質が良い“というイメージがある気がする。東海岸や南部、シリコンバレー等は、例えば中国製など他の国にポジティブなイメージがあったり、ヨーロッパと似たようにブランド単位でイメージを持っているところもあるようだが、少なくても日本製にネガティブなイメージを持っている人は少ないだろう。
一方で、開発者は成果を上げるために生産性やイノベーションを重要視しているため、ヨーロッパの人より日本品質にネガティブなイメージを持っているように感じる。人によっては、「日本人はイノベーションを阻害するような面倒臭いことばかり言う」と思っている人もいるようだ。私も何名かアメリカ系の人と仕事をしたが、品質系の話ではなかなか合意に至ることが無い。
中国系の人のイメージ
多くの人は“日本製は品質が良い“というイメージが根付く残っているように感じる。中国も国土が広く、様々な文化の人がいるため人によってイメージは違うだろうが、現在お付き合いしている開発者と話をしても、品質に関わることであまり意見の衝突を経験したことが無い。もしかすると、品質の考え方は日本人と近いのかもしれない。
しかし、最近では、多くの中国製品の品質が向上したり、中国系の人の方が日本人より細かい分析をしたりするので、“中国の方が品質が良いのでは?“と感じ始めている人も出てきているようだ。
私がお付き合いしている範囲では、日本人が思っているような“日本品質“という神話はもはやあまり意味を持たない気がする。特に“日本という地域だから“高品質というイメージはなく、企業やブランド単位で良し悪しを判断されている。一方で、モノづくりの現場では、日本の積み上げてきた設計やテストにおける独自のノウハウと世界観を、しっかりビジョンとして伝えていくことが大切だろう。“日本だから“という理由はもう通じないので、自分達の言葉でしっかり発信していく必要がある。
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